先日、お正月休みにPerfect DaysをAmazon Primeビデオで鑑賞しました。前々から観たいと思っていたのですが、いつの間にか上映している映画館も限られ、遠くになったので観そびれてしまっていましたが、なんとAmazon Primeで観れるようになってました。
久しぶりの日本映画?ですが、監督/脚本はヴィム・ヴェンダースと言う方で、外国人の方のようです。調べてみると、パリ、テキサス を撮った監督の方のようですね。私はライ・クーダの音楽が好きでこの映画を見た事がありますが、なんとなく、この監督だったのか~~、なるほど!と言う気がしました。
ちなみにこの映画ですが、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては19年ぶり2人目となる男優賞を受賞したほか、作品はエキュメニカル審査員賞を受賞したそうです。どうしても観たくなりますよね。
あらすじ
映画の紹介からの抜粋です。
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。 その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。 その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。 そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。
実はこの映画、予告編をみて東京のトイレを掃除する男のストーリーとしてとても興味をもちました。いったい、公共トイレの清掃を仕事としている人は何故この仕事を選んだのだろう・・・と。 清掃をしていてくれる人がいる事は十分認識はしていますが、とても関心がありました。
これは映画かドキュメンタリーか?
これ、ドキュメンタリーかと思うぐらい、自然でした。特にセットの中での撮影でもなく、外国人監督にしては、よくある外国人がみた日本や東京ではなく、普段の日本人が見ているごく日常のシーンがそこにはありました。
私の感想
ネタばれはしませんのでご安心してください。
正直、「人生とは?」、「幸せとは?」を、じわ~っと考えさせられる映画でした。主人公は、公共トイレの清掃人です。でも彼は好きな音楽を聴き、好きな本を読み、好きな店で食事をして酒をのみ、そしていつも決まった時間に銭湯で汗を流す。
家では植物愛して育て、日常のごく自然な景色(でも毎日少し違う)をカメラで撮影し、現像した写真を楽しむ。就寝前にはすきな小説を読む。それも古本屋で買ってきた安い本。でも好きな本。
この日常を見ていて、なんか少し羨ましいような気にさえなりました。労働をして、それ以外の時間を自分の思うように生きる。当たり前の事だけど大事な事。
さらに、他の登場人物との対比も素晴らしいです。何事にもいい加減なタカシ
トイレを念入りに磨く平山に、「平山さん、やりすぎっすよ、どうせ汚れるんだから・・」と。
また別なシーンでは、平山とその妹ケイコとのシーンが印象的です。
主人公の平山とその妹(ニコの母親ケイコ)?、詳しい関係については分かりませんが、平山とは全く別な裕福な環境で暮らしているようです。かたや運転手付きの生活、そして兄である平山はトイレ清掃員として。運転手付きの高級車で平山のアパート前まで、ニコを引き取りに来たケイコが平山に尋ねます。
ケイコ:「迷惑かけたわね、好きだったでしょ、これ」(お菓子のクルミっこの袋を手渡します)
平山:(袋を受け取りながら)「うん、(ニコのいる家の方を振り返って)いい子だ」
ケイコ:「どうだか・・・」
ケイコ:「父さん・・・ もういろいろ分かんなくなってるけど、ホームに会いにいったげて もう昔みたいじゃないから。」
(平山は下を向いたまま無言で首を横に振る)
ケイコ:(少し言い出しづらそうな間のあと)「ほんとうにトイレ清掃…してんの?」
(平山はしっかりとケイコの方をみて無言でうなずき、そして、もう一度軽くうなづきます)
そして、平山はケイコに歩み寄り、抱擁します。(ここでケイコ役の麻生祐未の表情が絶妙です)
昔、いったい何があったのかは全く語られませんが、平山と父親の関係は良くなかったようです。平山は妹に対してもう迷惑を掛けたくないと言うか、心配させたくないと言うような精一杯の平静を保っているように見えます。または、意地を張って頑なに今の生活を肯定し頑固な自分と葛藤しているのでしょうか?もう2度と父親と会えないような、どんな事が過去にあったのでしょうか?最後まで映画の中では語られることはありませんでした。
それでも、妹が去ったあとに平山がむせび泣いてしまう姿には、心がうたれました。
人はそれぞれいろんな過去を背負って生きているんですね。
主人公は本当に幸せか?
私には彼は幸せに思えました。怒ったりもするし、感情も出す、行きつけのスナックのママと男が抱擁している姿を見て落ち込んだ入りする。私とまったく同じです。べつに平山は特別な人ではない。
でも、彼にはなにか惹かれるものがあります。なにかは分かりませんが、淡々として几帳面なところでしょうか? 自分が慣れ親しんでいる規則的な日々を過ごすところでしょうか。他者を思いやるところでしょうか?責任感の強いところでしょうか? エゴのないところでしょうか? わかりません。
映画では毎日同じことの繰り返しの日常が描かれています。同じルーティンは確かに安心感があります。でも、平山は毎日何か違いを感じているのだと思います。
その証拠に、行きつけのスナックのママの元夫(片山)と川沿いで影を重ねるシーンがあります。片山は影が重なったら濃くなるかな?と言い、平山が試してみましょうと片山を誘います。実際に影を重ねてみますが、片山は「やっぱり変わらないですよね~」と言うのに平山は、「いや、やっぱりかわりますよ。濃くななきゃおかしいですよ」といい、続けて
平山:「なんも変わんないなんて… そんな馬鹿な話ないですよ」
役所広司の演技が素晴らしい
とにかく、すべてはこの役所広司の演技と言うか表情がこの映画を素晴らしいものにしています。
ほとんどセリフはありません。平山はとても無口ですが、表情ですべてが伝わってきます。
特にラストシーンです。
ラストシーン
ラストシーンは、え? 終わるの? と言う感じですが、平山の表情がとても印象的なラストシーンです。なんの謎解きも伏線の収集もなく、映画は終わります。
いつものように竹箒で道を掃除する音を聞きながら眼ざめ、いつものルーティンで車の中で音楽のカセットを選び、平山がハンドルを握っていつものとおり仕事に向かう軽自動車を運転している顔のアップで映画は終わってしまいます。
人生とは?人の幸せとは? すべてがこのラストシーンに込められているように感じました。
ちなみに、最後のシーンで車で流れている曲が、「Feeling Good」です。最高にいい曲ですね! 新たな夜明け、新しい一日、毎日が新しい人生、私は自由。♪And I’m Feeling Good.♪
私はここに、最後のこの曲と平山の顔(役所広司の名演技)で、この映画のテーマが見事に表現されていると感じました。 この映画が外国人監督によるもので、世界に向けて制作されているからこそでしょうかね? 印象に残るラストシーンですね。
余談
この映画で登場する平山が食事をする行きつけの食堂のシーンですが、実は、これ、私の好きなNHKの番組のドキュメント72時間で登場した場所でした。
映画を見ていて「あ~~、ここ知ってる・・・」 まさに下町の東京そのものですね。良くこんなロケ場所を監督のヴィム・ヴェンダースは選んだと思います。流石です。
さらに余談というか、舞台裏として
こんな背景があったのですね。
この映画は渋谷区の17の公共トイレを16人の建築家やクリエイターが生まれ変わらせた「THE TOKYO TOILET(ザ トウキョウ トイレット)」プロジェクトの一環であるということが一つ。もう一つが、東京オリンピック・パラリンピック2020を機に、日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴であるトイレを、デザインとアートの力でイノベーションし、問題解決・問題提起と良質な体験を実現するために、この映画を創ったということだ。さらに、あの個性的かつ明るく清潔に生まれ変わったトイレ群は、日本財団が渋谷区と協力して運営しているが、映画だけでなくこのプロジェクト全体のオーナーが柳井康治氏であるということだ。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/bcc5c171deec8c5824c575d1bccc48df27fe4c3a
柳井氏談
誰もが快適に利用できる公共トイレを維持するため、トイレそのものだけでなくプロジェクト全体を「デザイン」することにチャレンジしています。人は美しいものは汚しづらいものです。渋谷エリアの通常の公共トイレの清掃は1日1回ですが、「THE TOKYO TOILET」プロジェクトでは1日3回を基本とした清掃体制の確立も行っています(複数の組織・企業によるメンテナンスのチームを組成し、体制や費用などを改善中。清掃員が着用するユニフォームはNIGO氏のデザインだ)。
また、トイレをきれいに使ってくださいと大声で呼びかけるのではなく、どうしたら自然に、無意識レベルで、トイレをきれいに使おうと思ってもらえるのか?その答えが、アートでした。人々は芸術的で美しいものに自然と心を動かされるものです。そんなエモーショナルなものを作って、人々の気持ちを動かす触媒になればと考えました。
そこで、トイレの清掃人に光を当てた映画を作ることにしました。とてもラッキーなことに、私の大好きなドイツの巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督と、日本の素晴らしい俳優である役所広司氏、アナザーKOJIがプロジェクトに共感し、参加してくれました。渋谷の公共トイレを中心に、2022年に約半年かけて撮影を行いました。美しい日常の日々を丁寧に追うもので、とても美しい映像になっています。この映画を観ることで人々にポジティブな影響を与えられるものになると思っています。映画を観て、「THE TOKYO TOILET」プロジェクトのトイレを訪れて、体感して、そして、ぜひ使ってみてください。
まとめ
とても印象に残る映画でした。観終わったあとはの感想は、ずっと自問自答するような、自分の幸せについても考えさせられるテーマの映画だったと思います。
新しい毎日を気持ちよく生きていかなければ・・・なんて。
観る人によって解釈は異なると思いますが、ラストシーンの夕日に映し出された平山の表情から何を感じるかですね。
超お勧めの映画です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
アマゾンプライムをTVで鑑賞するのにはFireTV Stickが便利
以前にも紹介しましたが、私はAmazon PrimeはFireTV Stickを使って見ています。これは滅茶苦茶便利なんです。もちろんPCでAmazon Primeを観るのも良いですが、家族で観るには画面が小さ過ぎます。そこで便利なのがFireTV Stickです。
Amazon Prime Videoについて
Amazonプライム会員は、年会費が5千円程度必要ですが、Amazon発送商品の送料が無料になったり、見放題の映画やドラマも多くて、Amazon Photoで写真も無制限に保存できます。これはとても便利なので長年利用しています。
また、Amazon Fire TV Stick を使用すると、自宅のテレビで簡単にAmazon Prime Videoが見れたり、TVerやYouTubeを快適に視聴することができるので超お薦めです。私のFire TV Stickの使用した感想は以下のブログで書いてます。
投稿者プロフィール
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”なんでも自分でやってみる” をテーマに、ブログを書いてます。素人には無理と思う様な事も、実際にやってみるとあっさりと出来たりする事もあります。失敗もありますが、失敗する事で経験となり、次は少し上達したりします。それが楽しいです。そんなDIYの情報を発信して行けたらと思ってます。仕事はAIやクラウド関連を担当してます。そんな訳でプログラミングやシステム構築も趣味と実益を兼ねてDIYを楽しんでます。ギターはもともとクラシックギターを学び、インストルメンタル専門でしたが、高校生の頃にテレビでみた卒業の映画でPaul Simonの曲に憧れて、それ以降いろんなジャンルの弾き語りも楽しんでます。S&Gの曲なら楽譜なしで弾けます。^^; また最近は独学でピアノも始めました。すでに4曲ほどレパートリーがあります。Twitterの方でも発信していますので、ぜひフォロー下さい。
(Amazonのアソシエイトとして、当サイト(diy-hs.com)は適格販売により収入を得ています。)
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